NIGHT MOON
次に目を覚ますと
辺りは何事もなかったかの様に
静まりかえっていた。



いつの間にか、
あんなに降っていた雨も止んでいて
少し空に星が見えていた。



康平が立ち上がろうと
地面に手をつけると痛みを感じて
血が出ているのに気付く。



それにさっきまで手に持っていたはずの傘も遠くに飛ばされていて壊れている。



やはり事故に遭ったのは
夢ではなかったのだ。



数える程しか
家が建っていない静かな所で
交通事故が起きた上
あの雨で周りの人は
気付かなかったらしい。



加害者も車も見当たらないので
康平は完全に
ひき逃げされたと同じ。



でもあれ程スピードを出していた車に
ぶつけられたというのに
軽傷で済んだのは奇跡的だ。



康平は雨でズブ濡れ、
事故のせいで怪我を負った姿のまま
自宅へと帰って行った。
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