NIGHT MOON
「オーナーはもしかしたら起きないかもしれません」
「え…」
足を止めて
夜月は振り向きもせずに言う。
「オーナーはこうなる事を分かっていたのかもしれません。私に言ってました。次、倒れたら駄目かもしれないと…だからあなたに真実を伝えて欲しいと」
「………」
「オーナー言ってました。本当はあなたを他の人の養子にするなんてしたくなかったと…でも仕方ない、そうするしかなかったと」
「仕方ないって何だよそれ」
「幸せにする自信がなかった様です。一人で育てる…」
「……」
「そうなってしまったのはオーナーの奥さん。つまりあなたの実の母親が事故に遭ってしまい…」
「死んだのか?」
「はい」
「そうなのか…」
「でも事故に遭ってから約一年程は植物状態で辛うじて生きていました。しかしそれから意識を取り戻してすぐに意識が急変…肺炎を起こしてしまい…まだ二十二歳で早過ぎる死でした。これがあなたの母親の写真です」
黒田はある一枚の写真を
夜月に渡した。
写真を見ると、まだ若い母親と
少し年上の男が写っていて
夜月は驚く。
この一緒に写っている男こそ
神田川の若い頃の姿なのだ。
そして、母親の腕の中に産まれて
間もない赤ん坊が抱かれていた。
「これが本当の両親………」
「そうです。成美(ナルミ)さんに抱かれているのはあなたです」
「成美?俺の母親…?」
「え…」
足を止めて
夜月は振り向きもせずに言う。
「オーナーはこうなる事を分かっていたのかもしれません。私に言ってました。次、倒れたら駄目かもしれないと…だからあなたに真実を伝えて欲しいと」
「………」
「オーナー言ってました。本当はあなたを他の人の養子にするなんてしたくなかったと…でも仕方ない、そうするしかなかったと」
「仕方ないって何だよそれ」
「幸せにする自信がなかった様です。一人で育てる…」
「……」
「そうなってしまったのはオーナーの奥さん。つまりあなたの実の母親が事故に遭ってしまい…」
「死んだのか?」
「はい」
「そうなのか…」
「でも事故に遭ってから約一年程は植物状態で辛うじて生きていました。しかしそれから意識を取り戻してすぐに意識が急変…肺炎を起こしてしまい…まだ二十二歳で早過ぎる死でした。これがあなたの母親の写真です」
黒田はある一枚の写真を
夜月に渡した。
写真を見ると、まだ若い母親と
少し年上の男が写っていて
夜月は驚く。
この一緒に写っている男こそ
神田川の若い頃の姿なのだ。
そして、母親の腕の中に産まれて
間もない赤ん坊が抱かれていた。
「これが本当の両親………」
「そうです。成美(ナルミ)さんに抱かれているのはあなたです」
「成美?俺の母親…?」