束縛女 *短編*
「ねぇ佑衣、昨日大丈夫だった?」

「へ? 昨日……って?」

「だからぁ、晃だよっ」



次の日、休み時間
春花がすぐに飛んできてそう聞いてきた。

あたしは苦笑いで「大丈夫だよ」って言った。
春花は少し何かを感じとっていた様子だったけど、
そうかぁ~って言って笑ってた。



「……今日も遊ぶんだけど、佑衣来る?」

「え……あぁ……どうしよっかな」

「晃がまたうるさいから
できればきてほしいけど、昨日のこともあったし
嫌だったらうち何とか言っておくよ」



春花のその優しさが痛い。
付き合い始めたらどんな感じで
話せばいいのとか、今までの彼氏とは
違う感じがある。



「佑衣?」

「あっ――ううん、いいよ、行く」

「ほんと? ごめんね、うちのせいかな……」

「そんなことないっ大丈夫」



何か、心がズキズキする。
重たいものがズシリ、と乗った感じ。



「――あ、そうだっ!
ねぇ佑衣、黒髪もすっごい似合ってるけど、
うちみたいに金髪にしてみない?
ピアスも開けてあげるからさぁ」



あとメイクもバッチリやってあげる、
と付けたしした春花。

あたし……そんな風にはなりたくない。
だけど、金髪だらけの中に一人
黒髪がいたら嫌だし、目立つし……。

気がつけば頷いてた。
ありがと、お願いねなんて言ってた。




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