束縛女 *短編*
春花の約束をオッケーしてしまったせいで、
今日は学校を途中から抜けた。
先生たちの許しもなしになんて、
真面目だったあたしには初めてで少し恐かった。
でも春花がいれば――、なんてこと考えてた。



「メイク道具とかないっしょ?
少しは貸してあげるけど、後はうち買ってあげる」

「えっ!? いいよそんなの、悪いよ」

「いいからいいから」

「っ……ありがと……」



春花はこんなにも優しい。
本当にありがとう、とまた言った。
春花は家がすごくお金持ちだから、
何でも買ってもらえるんだろう。
お母さんたちからも、何しても特に何も言われないって言ってた。
「春花の選んだ道だから何も言わない」って
お母さんに言われたんだって。

後は、髪を染めるための道具や
ピアッサー等買って……。
それはあたしが全部買った。
当たり前だけど、春花といれば
それがあんまりなくなってきた。



****************




「わぁ……、佑衣……超可愛いっ!」



そんな春花の言葉に少し照れた。
髪は金髪、耳たぶにはいくつかのピアス、
濃いメイク――。
おまけに可愛い服まで着せてもらって。
春花が買ったのに、あたしの物なんて言ってた。



「あたし……すっごい変わった……」

「もうっ佑衣可愛い!
うち絶対そっちの方がいいと思う!」



そう言ってぎゅっと抱きしめてきた春花。
そう言われて、このままでいようかなという
気持ちが出てくる。
後で春花にメイクのやり方とか教えてもらおう。



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