束縛女 *短編*
いつもの倉庫に着いた瞬間、
みんなの視線があたしに向けられた。

トランプをしてた人たちも、
恋バナをしてた人たちも、
メイクをしてた人たちも、
バイクを磨いてた人たちも。

みんなみんなあたしを見た。



「っ……」



その中に、晃くんはもちろんいた。
春花があたしのことを言ってくれようとした瞬間、
ワッとみんながあたしを囲んだ。



「この子新人!? 春花の友達!?」

「なんで言ってくんなかったの!?
超可愛い~!」

「何て名前なの?」



色んな言葉が飛び交う中、
あたしはおどおどしてた。

あたし……佑衣なのに……。

戸惑ってるあたし。
なのに一人落ち着いてる人がいた。

晃くん……?



「佑衣、急にそんなカッコしてどうしたんだよ」

「えっ……?」

「佑衣?」

「佑衣さん?」



みんなの口がポカーンとなる。
その瞬間、えぇえ!?と叫び出すみんな。
その反応にあたしも春花もビックリした。


晃くん……、
晃くんだけはあたしのことちゃんと分かってくれた。

あ、また好きが増えたかも。
このまま「大好き」って言えるようになれたらな。



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