宇宙の果て


頭を下げて、うけとった

愛想の悪い私でも
そのくらいの礼儀は
幼稚園の頃に教わっている


「沢野‥さん?」

「えぇ」


素敵な笑顔を
私に向けて微笑んできた


「すいません、私‥
 名刺とかなにもなくて」


カバンの中をあさるけど
名刺とか、
そんなしれたものなんかなくって

思わず謝る


‥‥‥‥‥なんで私が謝るの



「別にいいんですよ。
 僕は沢野俊英と申します。
 一応、ここの職員です。
 ‥‥‥‥貴方は?」


私の名前を聞いている

初対面のひとに名前なんか教えても
大丈夫なのかな?


意味不明な不安が一瞬
脳に駆け回ったけど

自己紹介は初対面の人にするものだ


自己解釈をして
「沢井 あゆみです」と
言った



その声はどことなく震えてた
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