ヒロイン 完
「誰だよ!?」



恭二が耳元で馬鹿でかい声を出した。


うっさい。



「だから、まっちゃんだろ!」



ムラサキ、お前は本当に馬鹿なのか。



「男!?男なの!?奈緒!」



いやいや、ほのかちゃん今まで傍観してたのに何故今更。



「奈緒が、あんなに乙女ちっくに笑うの初めて見た!」



ほのかちゃん、あなたも大概失礼だよ。



『……』


「で、ムラサキ君は何者ですか?」


「へ?俺?」



うんうんと私は頷いた。



「俺、2-Aの雨宮 紫」



2-Aって特進クラスじゃん。



「ゆかりって紫って書いてゆかり?」


「そうそう良く知ってるね」


「まーね」



やっぱそうか。


だからって髪の色まで紫にするか?



「ムラサキ君そこ私の席なんだけど」



この言葉何回目だ?



「え、奈緒ちゃん今俺のこと紫って書いてゆかりって聞いたよね」


「うん、どいてムラサキ君」



それがどーした。


どけよ。



「なのになぜ!ムラサキ!?」



何故って……。



「その頭の印象は消そうとしても消えないですよ」



お前こそ何故、私の席から退かないんだ。



「ひどっ!」



酷いのは君だ、ムラサキ。


いつの間にか恭二も近くの椅子持って来て、お昼食べ始めてるし。


私も流石にお腹が空きました。
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