ヒロイン 完
「ほのか、彼氏いたの!?」


「ちょっとほのか、失礼じゃない?」



あなたにだけは言われたくない。



「私に彼氏がいちゃ変?」


「いや、違くて。だってほのか、恭二や朱吏さんとか見てキャーキャー言ってたじゃん」


「それは単なるファンよ」



ファンか、てか芸能人じゃあるまいしファンって何だよ。



「てか、奈緒こそ誰からメールきたのよ」



誰って。



「別に」



言えませんよ。


言えるわけありません。



「言いなさーい」


「世の中には知らないでいた方が良いこともあるんだよほのかちゃん」


「何それー」


「何でも」


「やっぱ、まっちゃんか」


「ほのか」



ニヤリと笑ったほのかを軽く睨んでおいた。



「冗談だって」



からかわれるのは好きじゃありません。



「紫は幼なじみなんだよー」


「へー」



漫画みたいだね。



「あれでも頭めっちゃ良いの」



何たって特進だもんね。



「ほのかちゃんムラサキ君、好きなんだね」


「うん」



素直に頷いたほおの目は、とっても愛おしそうで、とっても幸せそうで、とっても綺麗な笑顔だった。


私の醜さが際立ってしまった。


だから私は泉さんからのメールを読んで心を落ち着かせた。
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