ヒロイン 完
あー、イライラする。


勉強机という物がない私の部屋にあるのは低いガラステーブル。


失敗したと思う。処分を早まったと思う。


長いこと胡座をかいてると足は痺れるし、腰は痛くなるし、処分なんかしなきゃよかった。


足の踏み場もないほどプリントが散乱している部屋の中、テーブルに向かっている。


頬杖を付きながら窓から外を眺める。これじゃあ学校と一緒だ。


明日からテストが始まるというのにイライラしすぎて手に着かない。


私のイライラの始まりは、まっちゃんの一言からだった。



「神山ー、今回は頑張ってるみたいだから良い点取れそうかー?」



は?うざい。カチンときた。今回?毎回、同じぐらい勉強してんだよ。


しても点取れねーんだよ。


まっちゃん何処見てたんだよ。


てか、知らないの?



「まっちゃん知らないの?」


「あ?」


「世の中には頑張っても無理なことがあるんだよ」


「……」


「努力しても無駄なことがあるんだよ」


「……」


「この世に生を持った瞬間から決まってんだよ」


「……」


「全部ね」



笑顔を崩さず言い終えた私は踵を返し帰宅した。


あー、うざい。


気安く頑張ってるとか言うなよ。


私の何を見て言ってんだよ。何も知らないくせに。何も分かってないくせに。分かったような口きくなよ。


あー、イライラする。
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