ヒロイン 完
や、焼き上がりました。


あまりにもスムーズにケーキが出来ちゃって自分でも吃驚です。



「あ、できた?」


「はい、なんとか」


「んー、いい匂いー」


「あとクリームぬって、苺で飾るだけです」


「ぬるの?」


「はい」



あ、目が光った。


う、眩しい。


輝いてますよ泉さん。



「や、やりますか?」


「やる!」


「じゃー、中ぬるんで片面ぬって下さい」


「はーい」



ヘラを持ちながらニコニコしている顔を見ていると、こっちまで顔がゆるむ。


26歳に見えない。


笑顔が若々しすぎる。


いやね?26歳はまだまだ若いっすよ。


でもね、泉さんは異常なほど若く見えるんですよ。



「こら、泉さん舐めない」



ぺしっ、と手を叩く。



「はい、苺」


「うまっ」


「だから食べない」



半分に切った苺を片面に並べる。


そして合体!



「はい、あとは好きにぬっちゃって下さい」


「やった!」



鼻歌交じりにクリームをぬる隣で私は片付けを始めた。
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