ヒロイン 完
「奈緒ちゃんって本当に料理出来ないの?」


「はい」



あ、また舐めてる。



「ふーん。慣れてるように見えるけどなー」


「私料理しませんから」


「できないじゃなくて、しないの?」


「はい」


「てことは実は出来んの?」


「いえ、出来ませんよ」


「んー?」



だから、苺食べない!



「家に親いるんで料理なんかしないんですよ」


「お手伝いは?」


「するわけないじゃないですか」


「そうなの?」


「私、親不孝者ですから」



自嘲気味に笑った心が痛い。



「できたよ」



どれどれ、おっ。



「泉さん意外と器用ですね」


「意外って」


「食べます?」


「んー、奈緒ちゃん。今日、夕飯は?」


「家ですよ?」


「食べてかないの?」



へ?



「ケーキ」



あぁ、ケーキね。



「冷蔵庫入れといて下さい」


「え、食べてかないの?」



今度は本当に驚いてるみたい。
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