ヒロイン 完
「そろそろ帰らないと……」



時刻は既に七時。あと三十分もすれば私の家は夕飯の時間だ。



「帰らないと駄目なの?」


「え、そうゆう訳じゃないですけど……」


「じゃあ一緒に食べよう」


「はい」



はい、それしか言えません。


泉さんの言葉が疑問系じゃなかったから。


泉さんの瞳がNOって言わせない瞳だったから。



「じゃー、ケーキは冷蔵庫入れといてピザでもとろうか」


「……はい」


「あ、お風呂もう沸いてるから入ってきな」



へ?


あ……今、絶対酷い顔してるよ私。


口開いてポカーンって。



「お泊まりしよっか?」


「……」



あぁ、泉さん。あなたの常識はいずこへ?
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