ヒロイン 完
「駄目ですよ幸大さん。神山は、まっちゃんの女なんすから」



おいおい、まだそのネタ引きずるのか颯太くん。もう何か訂正するのさえ面倒だ。



「は?まじで?まっちゃん生徒に手出したのかよ」


「出してねーよ。桜井お前しつこいぞ」


「す、すんません」



可愛いけど一応愚連隊の颯太を黙らせちゃう、まっちゃんの睨みは本当に、あっちの人みたいだった。


怖っ。



「それで、お前携帯どうした?」



ん、けーたい?


突然振られた言葉に首を捻りながらも、いつも通り私はポッケに手を突っ込む。



「……あれ?」



スカートのポッケにも突っ込む。そしてバックも漁る。



「……ない?」



あははっ、と苦笑しながらまっちゃんを見上げた。


周りから盛大な溜め息が漏れた。



「ありえない!女子高生が携帯忘れるなんて、ありえないよ奈緒!」



いやいや、誰にだって忘れることぐらいあるじゃないですかほのかちゃん。


でも確かに今日忘れるのはありえない。記憶を辿ってみれば、たぶん玄関に置き忘れたんだと思う。


私も皆に負けない程、盛大な溜め息を吐いた。



「と、いうわけだから俺はお前達と行動を共にすることにした」


『……』



は?



『はぁあああああ!?』



本当に勘弁して下さいよ。
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