ヒロイン 完
何なんだ、この違和感。似合わない。似合わなすぎて笑えない。


金赤オレンジ茶キャラメル、色とりどりの……髪。


この美しい京の都に、その派手すぎる君達の髪が似合わないって何故に気づかない?


おかしい、おかし過ぎる。おい千夏。てめー何、嬉しそうに笑ってんだコラ。


キレるよ?この温厚な私でもキレるよ?


だって私は携帯忘れたんだよ。携帯忘れたってことは連絡できないんだよ。


私、泉さんに何も言わずに……。



「来ちゃったよ」


「え、今更?」



ひょっこりと顔を覗き込んできたのは幸大君。



「幸大君、顔無駄に近い。まっちゃんに怒られるよ」



そんなわけないけど、って無反応ですか?


チラッと視線を横にずらすと何故だか驚いた顔をしていた。



「え、何?」


「奈緒ちゃんて、ちーちゃんに似てるね」



は?何それ。



「俺のこと“さん”付けしない奴あんまいないんだよ」


「幸大君て偉い人?」


「え、いまさら?」



だからって私が、あの子似ているなんて……嫌だ。


また出てきた黒い感情を息を止めて無理矢理、押し戻す。


んー、私って無知なんだよねー。今まで、そっちの人と関わり持つの避けてたからなー。


てか、一般人だったら避けるの普通じゃん?
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