ヒロイン 完
にこにこと八ツ橋を口に運んでいると萎える言葉を言われた。



「女が食うとか言うなよ」



私同様パクパクと口に八ツ橋を放り込んでいる颯太くんだ。



「あれ?颯太君。意外と女の子に理想抱いちゃってる系?」


「べ、別に!」



お、焦ってる焦ってる。私はニヤリと口の端を上げた。



「何なにー?」



私の悪い笑みを見た朱吏さんが早速、食い付いてきた。



「な、何でもないっすよ!」


「顔、赤いよ?」


「気のせいだし!」



可愛いーなー。なんか颯太くんって犬ぽいし、それに……。



「ヤンキーなのに純情なんだね」


「純情じゃねーし!もうヤリまくりだし!」



おい、何をだよ。


私はシラけた視線を送った。



「本当だからな!昨日だって女と……」


「言うなっ!可愛いマメシバのイメージが傷付く!」


「だ、誰がマメシバだよ!」


「颯太君だけど?」


「豆じゃねーよ!」


「マメシバだってば」


「どっちでも一緒だ!」


「もー、文化祭で女子の浴衣姿見て、顔真っ赤にしてタジタジだったくせに」


「おおおお前!蓮さん達の前でなんてことをっ!」



颯太が本格的にたじろいた姿を見て皆、体を曲げて大爆笑していた。


朱吏さんなんてヒーヒー言ってる。アホだ。


こーやって一緒にいると暴走族に見えない。


いやね、見た目は完璧ヤンキーで危ない奴らに見えるんだけどね。


空気が楽、ちょう楽。
< 150 / 221 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop