ヒロイン 完
あー、絶景。


天を仰げば視界に入る青い空と太陽の光でキラキラしている竹林。


嵐山って初めて来た。中学の修学旅行じゃ来なかったからな。



「奈緒!」


「ん?」


「何ボーッとしてんの?あっちでお団子食べよ」



腕を引っ張る華ちゃんに食ってばっかだなーと苦笑する。


さっきから買い食いしか、してないじゃん。


竹林を抜けたら少し拓けた場所があり、そこに小さなお団子屋さんがあった。皆、すでに腰を下ろし休憩している。



「ほら、美味いよ」


「どーも」



朱吏から差し出されたお団子を受け取り、隣に腰を下ろした。


左から虎さん、千夏、朱吏さん、私。


向かいにほのか、まっちゃん、颯太くん、幸大くん。



「あ、飲み物買って来るね」



そう言って立ち上がった千夏ちゃんを私も慌てて追いかける。



「私も行く。一人じゃ持てないでしょ」


「確かに。ありがと」


「何が良い?」



振り返って皆に問い掛けたら、あーでもない、こーでもないって我が儘言い出したから私は笑顔で言い放った。



「うん、わかった。全員お茶ね」


『は?』



マヌケな顔した皆に背を向け、私は千夏ちゃんの手を引き自販機へと足を向けた。



「俺、爽健〇茶以外でー!」



何やら叫んでるマメシバの声も、もちろんシカトして。
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