ヒロイン 完
「で、ほのか。どーゆうこと?」
あの後、気分も上がらず真っ直ぐ旅館に戻ってきた私達。
千夏が真剣なのか興味本意なのか、よく分からない顔して聞いた。きっと両方。
そんな中、私は堅苦しい着物を脱いだ解放感に浸って大の字になって寝転がっていた。
スウェットって素晴らしい。着物なんて二度と着たくなくなる。
「ちょっと奈緒!」
「いてっ」
千夏に、ぺしりと額を叩かれた。地味に痛い。
仕方なく私は体を起こし皆の輪の中に入ることにした。
私たちの部屋には今、全員集合している。
虎さんは興味ないみたいだから窓際で煙草吸ってるけど。
私もあんまり興味ない。ていうか苛々しそうだから聞きたくなかった。
「あいつは東堂千里。私の家と昔から付き合いのある家のお坊ちゃん」
お嬢様がバリバリ音たてながら煎餅食うなよ、と呆れながら私も一枚、煎餅に手を伸ばす。
「へー、お前ってまじで、お嬢だったんだな」
こらマメシバ、ぼろぼろ零すな。
「ほのかちゃん意外だねー」
「全然、和って感じしないしな」
朱吏さん幸大くん酷い。毒舌だね君達。
なかなか話が進まないから取り合えず一番聞いとかなければならないことを口にした。
「ねぇ、ほのかちゃん。明日行くの?」
「……」
「ほのかちゃん、嫌なら……」
「奈緒、私行く」
「……」
「もう逃げちゃダメなのかもしれない。良い機会だとも思ったし。だから行ってちゃんと断る」
あー、ほのかちゃん。とても綺麗な心だね。私には綺麗過ぎるから逃げることにするよ。
ねぇ、その強さはどこからきてるの?紫くんがいるからでしょ?
裏切らない誰かが一人でもいるのって……幸せだって分かってる?
「私も行く!」
「俺も!」
千夏に続いて元気良く手を挙げた颯太くん。君達、遠足じゃないっすよ。
仕方ない。遠足にはお守りが必要だ。
「みんなで行こうか?」
『おう!』
皆さん、良い返事だこと。
あの後、気分も上がらず真っ直ぐ旅館に戻ってきた私達。
千夏が真剣なのか興味本意なのか、よく分からない顔して聞いた。きっと両方。
そんな中、私は堅苦しい着物を脱いだ解放感に浸って大の字になって寝転がっていた。
スウェットって素晴らしい。着物なんて二度と着たくなくなる。
「ちょっと奈緒!」
「いてっ」
千夏に、ぺしりと額を叩かれた。地味に痛い。
仕方なく私は体を起こし皆の輪の中に入ることにした。
私たちの部屋には今、全員集合している。
虎さんは興味ないみたいだから窓際で煙草吸ってるけど。
私もあんまり興味ない。ていうか苛々しそうだから聞きたくなかった。
「あいつは東堂千里。私の家と昔から付き合いのある家のお坊ちゃん」
お嬢様がバリバリ音たてながら煎餅食うなよ、と呆れながら私も一枚、煎餅に手を伸ばす。
「へー、お前ってまじで、お嬢だったんだな」
こらマメシバ、ぼろぼろ零すな。
「ほのかちゃん意外だねー」
「全然、和って感じしないしな」
朱吏さん幸大くん酷い。毒舌だね君達。
なかなか話が進まないから取り合えず一番聞いとかなければならないことを口にした。
「ねぇ、ほのかちゃん。明日行くの?」
「……」
「ほのかちゃん、嫌なら……」
「奈緒、私行く」
「……」
「もう逃げちゃダメなのかもしれない。良い機会だとも思ったし。だから行ってちゃんと断る」
あー、ほのかちゃん。とても綺麗な心だね。私には綺麗過ぎるから逃げることにするよ。
ねぇ、その強さはどこからきてるの?紫くんがいるからでしょ?
裏切らない誰かが一人でもいるのって……幸せだって分かってる?
「私も行く!」
「俺も!」
千夏に続いて元気良く手を挙げた颯太くん。君達、遠足じゃないっすよ。
仕方ない。遠足にはお守りが必要だ。
「みんなで行こうか?」
『おう!』
皆さん、良い返事だこと。