ヒロイン 完
「嫌ぁああ!」
ほのかの叫び声に、私は閉じていた感覚を全て開放した。
眉を顰め襖をジッと見つめる。
「千里!離して!ヤッ………」
ほのか?
襖の向こうで何が起こっているの。
「んー!やぁあああ!!」
ほのか?
リアル過ぎる叫び声に私は体を動かせなかった。怖くなったんだ。
「紫!!」
襖を見つめたまま動けない私。無力な自分に、また全てを拒絶したくなって自分を掻き抱いた時、黒い陰が横切った。
「え……」
視界に映ったのは鮮やかな紫。
「ほのか!ッ、てめぇ!!」
いつもなら怖いと感じる怒声を聞き、何故かホッとしてしまった。
それからは、あっという間。
紫くんが暴走して千里さんをボコボコにしようとするのを朱吏さんと幸大君が何とか止めて、千夏がほのかを慰めて、虎さんはどっかに電話をかけに行って、颯太は来てくれた仲間達のところに行って……私はそれを傍観していた。
「奈緒」
「恭二、ごめん」
「どうした?」
「え?」
「浮かない顔してるぞ」
「ははっ、そんなことないし」
私はカラカラと笑った。
「恭二、学校……」
「サボリ」
「……本当に、ごめん」
「さすがに寝ずのツーリングは疲れたわー」
肩をぐるぐる回す恭二。
「恭二、ありがと」
「どーいたしまして」
恭二は私の頭に手を乗せて優しく撫でてくれた。
すごく泉さんに会いたくなった。
ほのかの叫び声に、私は閉じていた感覚を全て開放した。
眉を顰め襖をジッと見つめる。
「千里!離して!ヤッ………」
ほのか?
襖の向こうで何が起こっているの。
「んー!やぁあああ!!」
ほのか?
リアル過ぎる叫び声に私は体を動かせなかった。怖くなったんだ。
「紫!!」
襖を見つめたまま動けない私。無力な自分に、また全てを拒絶したくなって自分を掻き抱いた時、黒い陰が横切った。
「え……」
視界に映ったのは鮮やかな紫。
「ほのか!ッ、てめぇ!!」
いつもなら怖いと感じる怒声を聞き、何故かホッとしてしまった。
それからは、あっという間。
紫くんが暴走して千里さんをボコボコにしようとするのを朱吏さんと幸大君が何とか止めて、千夏がほのかを慰めて、虎さんはどっかに電話をかけに行って、颯太は来てくれた仲間達のところに行って……私はそれを傍観していた。
「奈緒」
「恭二、ごめん」
「どうした?」
「え?」
「浮かない顔してるぞ」
「ははっ、そんなことないし」
私はカラカラと笑った。
「恭二、学校……」
「サボリ」
「……本当に、ごめん」
「さすがに寝ずのツーリングは疲れたわー」
肩をぐるぐる回す恭二。
「恭二、ありがと」
「どーいたしまして」
恭二は私の頭に手を乗せて優しく撫でてくれた。
すごく泉さんに会いたくなった。