ヒロイン 完
あー、うざい。


私は顔を歪ませて相手を見ている。


もう迷惑です、というオーラを出しまくって。


隣にいるほのかは私と相手を見比べて唖然としちゃってるし。



「何の用ですか?」



私はトゲトゲしく声を発した。



「別に用はないけど見かけたから」



用もないのに話かけんな!



「な、奈緒ちゃん……知り合いだったの?」



その質問、本日二回目だねほのか。



「知らない人だよ。行こうほのか」



私はほのかの手を掴み、赤い髪の持ち主から顔を背け歩き出した。



「またねー!奈緒ちゃーん!ほのかちゃーん!」



大声で人の名前呼ぶな!



「え?え?名前呼ばれてるよ?」



あんたもね。



「え?え?」



まだ状況を呑み込めていないほのかはオロオロしている。



「あー!!!」


「うっ……」



私は手で両耳を覆った。


うっさー。


何?って視線を横に送る。
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