ヒロイン 完
こうして、どうにか始まりを迎えた文化祭。


時間が経つにつれ、女子と男子は、いつも通りになってきた。


でも、やっぱり少し違うのは青春か?青春なのか?


女子は緊張気味だし、男子は私が守れって言っちゃったんだけど……他の男子を威嚇している状況。


客まで威嚇して、どーすんだよ馬鹿共。



「いやー、面白かったな」



そう言って、いつの間にか隣にいたのは、まっちゃん。



「あいつら可愛いすぎ」



きっと男子のことを言っているんだろう。



「お前どうやって男子そそのかした?」



そそのかした訳じゃないし。


「嫉妬とロマン。男のプライドに、ちょっとした脅しを混ぜ合わせただけだよワトソンくん」


「は?」


「つーまーりー、女子が他の男に喰われていいのか?って言っただけ」


「お前……女の子が、そういうこと言うんじゃありません」


「効果てきめんでしたけど?」



口の端を上げて、まっちゃんをチラ見した時、それが目に付いた。



「まっちゃん頬どした?」



自分の頬を指差したながら、首を傾げて聞いてみた。



「お前それ無意識?」


「は?」


「何でもない」



意味わかんない。



「で、どした?」


「あー、ちょっと……」



まっちゃんは言いづらそうに頬を掻いた。



「別に言いたくないならいいよ」



私は興味無さ気に、そう口にして、まっちゃんの傍を離れた。


なかなか客が訪れない状況にクラスの皆が慌てだしたから。



「あいつが気になるのも分からなくはないな」



だから、まっちゃんが背後で呟いた声も聞こえなかった。
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