ヒロイン 完
「あー、駄目だな。これは」



隣のクラスの様子を観察し私は顔をしかめた。



「うわゎ、すごい人!」



ほのかは人の多さに唖然としていた。



「これじゃー、私達のクラスに客が来ない訳だね」



千夏ちゃんも、ちゃっかり落ち込んでいた。



「何言ってるのさ、二人共」


『え?』



二人の、ぽかんとした顔に吹き出しそうになりながら私は言い切った。



「大丈夫。客は、こっちに流れてくるよ」


『何で?』


「だって見てみなよ」



私の言葉に二人は教室をぐるりと眺めた。


そして二人揃って首を傾げた。



「女子、つまらなそうじゃない?」



このクラスの女子達は、あからさまに客の女を睨みつけていた。


そりゃそーだ。


自分のクラスの男子達を捕られちゃってるんだもん。


しかも、女子は制服にエプロンで完璧雑用だし。



「こんな嫌な雰囲気じゃ客も恭二を見たいだけだから、そう長くいられないよ」



二人は感心した声を漏らし元気になったのかニコリと笑った。
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