ヒロイン 完
私の願いも儚く、目の前には満面の笑みを浮かべた紅髪のおにーさんが立っていた。


お、おにーさん。


周りの声が聞こえないの?


難聴なの?


難聴なんでしょ。


聞いてくれよ周りの人間の声を。


これ以上、私を目立たさないで下さい。


そんな心の声が伝わるはずもなく、彼は私に話しかけた。



「奈緒ちゃん元気だった?」



あなた方が来る前まではね。



「あれ?頬ちょっと赤いよ?」



うげ、目ざとい。


その笑顔は偽物だな?


ちょっと同族の臭いがする。


だから私は、にっこりと笑顔を向けてあげた。



「そーですか?」



てか結構、腫れも引いたし今日はファンデも塗ってんのに……。


あんまり……てか、すんごく紅髪おにーさんとは関わりたくない。


危険信号がビンビン出てます。
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