ヒロイン 完
ジリジリと詰め寄って来る男達に、やっと危機感が芽生え始めた。


最近、不良と関わっていたから以前よりも危険反応が鈍くなってしまったようだ。


やば、逃げなきゃ。


ハッとして足を踏み出した時には既に遅かった。



「……ッ」



捕まれた腕に鳥肌が立つ。


触らないで……。


私は掴んだ男を睨み上げた。



「やべ。反抗的な目って、ソソられる」


「ここでヤんのか?」


「大丈夫だろ。滅多に人来ねーし」


「だな。つか来ても知らん振りだろ」



ギャハギャハと耳障りな下品な笑い声に嫌悪感が湧き上がる。


不良は不良でも恭二達はこんなことしない(たぶん)。



「離して。汚い手で私に触らないで」



私の言葉に、ちょっと驚いた彼等はニヤリと笑った。



「その生意気な口塞いでやろうか?」



やばい、やばい、やばい。


押さえ付けられた腕に身動きがとれない。


茶髪が顔を近付け唇が触れてしまうと思った瞬間、渡り廊下の扉が開いた。
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