ヒロイン 完
「……チッ」
もう駄目だと堅く閉じた瞼を上げれば茶髪は舌打ちして顔を歪めていた。
「おい、大人しくしてろよ。口開けたら、すぐ挿れるぞ」
―――――― ビクッ
やだ、誰か……。
扉を開けた人物の足音が段々と近付いて来る。
男達は私を隠すように立っているから、やって来る人物が見えない。
でも……チラリと隙間から見えた、あの髪を私が見間違えるはずがない。
「よし、通り過ぎたか」
再び顔を近付けてこようとした時、私は叫んだ。
「虎さん!」
『……は?』
あ、間違えた。
「れ、蓮さん!」
通り過ぎた男の足がピタリと止まった。
「れん?」
男達も足を止めた人物の方に視線を向けた。
あー、やっぱり虎がいた。
もう駄目だと堅く閉じた瞼を上げれば茶髪は舌打ちして顔を歪めていた。
「おい、大人しくしてろよ。口開けたら、すぐ挿れるぞ」
―――――― ビクッ
やだ、誰か……。
扉を開けた人物の足音が段々と近付いて来る。
男達は私を隠すように立っているから、やって来る人物が見えない。
でも……チラリと隙間から見えた、あの髪を私が見間違えるはずがない。
「よし、通り過ぎたか」
再び顔を近付けてこようとした時、私は叫んだ。
「虎さん!」
『……は?』
あ、間違えた。
「れ、蓮さん!」
通り過ぎた男の足がピタリと止まった。
「れん?」
男達も足を止めた人物の方に視線を向けた。
あー、やっぱり虎がいた。