ヒロイン 完
「何だよ」とでも言いたげな、そんな訝しむ視線を真っ直ぐ向けられた。


睨まれている訳じゃないのに、その威圧感に私は縮みあがった。



「あ、あの助けて下さい?」



虎はチラリと私を囲む男三人を見て、また私に視線を戻した。



「何で?」



虎は確かに口に出して言った。


何でって……。



「こ、困ってるから?」



何で疑問系なんだ自分、どっからどう見ても困ってるだろ。


虎からの返事待ちをしていると男達がコソコソ話し出した。



「今、れんって言ったよな?」


「れんって、あの蓮?」


「まさか……」


「でも、あの髪の色……」



凄い、名前出しただけで……。



「俺に何のメリットがある?」


「え、」


「お前を助けて、俺に何の得があるかって聞いてんだ」



私は思う。


虎さんは人間の風上にも置けない奴だと……。


あ、人間じゃないもんね。虎だしね。


そんなことを呑気に考えていたら虎は前を向いて歩き始めてしまった。


うわっ、ちょと待て
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