ヒロイン 完
数分もしないうちに数人の駆ける足音が近付いて来た。
ふと顔を挙げれば息を切らした皆が勢揃いしていた。
千夏ちゃん、ほのか、紅髪おにーさん、恭二……そして後から遅れて颯太くんと、まっちゃんが来た。
「奈緒っ、何が……ッ!」
困惑していた恭二の顔が私の姿を見て歪んだ。
「……大丈夫か?」
「いやっ」
悲しそうな痛そうな顔をして差し伸べた恭二の手を私は振り払った。
「奈緒……」
さらに顔歪めた恭二は虎さんの覇気で未だに腰を抜かしている男達に視線を向けた。
そして一人の男に狙いを定めると、胸倉を掴み上げ躊躇なく拳を振り上げた。
「ヒッ!」
男の情けない声に私は反射的に目を瞑った。
「相良、やめとけ」
冷静かつ威圧感のある声、どうやら誰かが止めたのだ。恐る恐る瞼を開けば、恭二の腕を掴む、まっちゃんの姿が映った。
「チッ」
腕を荒く振り払った恭二に溜め息を零し、まっちゃんは私の前にしゃがみ込んだ。
「大丈夫か?神山」
「……ん」
「あー、保健室行くか?」
私は、その申し出に頷いた。
こんな格好で教室なんかに戻れない。
でも私は再び差し伸べられた、まっちゃんの手をも振り払ってしまった。
「まっちゃ、ごめ……ッ」
不意に体が浮いた。
「え、」
見上げれば虎さんの顔。
私の体を抱き上げたのは虎さんだった。
流石に皆も驚いて目を見開いた。
その中で紅髪おにーさんだけは険しい顔で虎さんを睨んでいた。
そんな視線に気付いてるはずなのに、虎さんは気にした様子もせず、まっちゃんに問い掛けた
「保健室、何処っすか?」
そう言った虎に、まっちゃんは苦笑しつつ「こっちだ」と私達を誘導した。
ふと顔を挙げれば息を切らした皆が勢揃いしていた。
千夏ちゃん、ほのか、紅髪おにーさん、恭二……そして後から遅れて颯太くんと、まっちゃんが来た。
「奈緒っ、何が……ッ!」
困惑していた恭二の顔が私の姿を見て歪んだ。
「……大丈夫か?」
「いやっ」
悲しそうな痛そうな顔をして差し伸べた恭二の手を私は振り払った。
「奈緒……」
さらに顔歪めた恭二は虎さんの覇気で未だに腰を抜かしている男達に視線を向けた。
そして一人の男に狙いを定めると、胸倉を掴み上げ躊躇なく拳を振り上げた。
「ヒッ!」
男の情けない声に私は反射的に目を瞑った。
「相良、やめとけ」
冷静かつ威圧感のある声、どうやら誰かが止めたのだ。恐る恐る瞼を開けば、恭二の腕を掴む、まっちゃんの姿が映った。
「チッ」
腕を荒く振り払った恭二に溜め息を零し、まっちゃんは私の前にしゃがみ込んだ。
「大丈夫か?神山」
「……ん」
「あー、保健室行くか?」
私は、その申し出に頷いた。
こんな格好で教室なんかに戻れない。
でも私は再び差し伸べられた、まっちゃんの手をも振り払ってしまった。
「まっちゃ、ごめ……ッ」
不意に体が浮いた。
「え、」
見上げれば虎さんの顔。
私の体を抱き上げたのは虎さんだった。
流石に皆も驚いて目を見開いた。
その中で紅髪おにーさんだけは険しい顔で虎さんを睨んでいた。
そんな視線に気付いてるはずなのに、虎さんは気にした様子もせず、まっちゃんに問い掛けた
「保健室、何処っすか?」
そう言った虎に、まっちゃんは苦笑しつつ「こっちだ」と私達を誘導した。