ヒロイン 完
虎の首に手を回すこともなく、私はドッグタグを堅く握り締めたまま震えていた。
「着いたぞ」
まっちゃんが保健室の扉が開け、私はまだ虎さんに抱えられたまま中に入ると既に先客がいた。
「え、」
「奈緒ちゃん」
その人物は彼だった。
今、彼が私の目の前にいる。
ゆっくりと近寄って来た彼は少し悲しい顔をしていた。
「奈緒ちゃん」
彼が私の名を呼ぶだけで私は安心感を与えられる。
そこで、ようやくドッグタグから手を離した私は彼に縋るように両手を伸ばした。
「泉さん……ッ」
首に手を回し彼の胸に顔を埋める。
「奈緒ちゃん」
虎さんから私を受け取った泉さんは私の髪を撫でながらベッドに下ろした。
私は泉さんのシャツを、ぎゅっと握り締め唇を噛み締めた。
その間ずっと優しく梳くように髪撫でていてくれた。
まっちゃんと虎さんは、いつの間にかいなくなっていた。
「泉さん、ごめんなさい。シャツが……」
「気にしなくていいよ」
顔を挙げた私に微笑みながら、まだ髪を撫でていた。
「泉さん何で、こ……」
「そんなことより奈緒ちゃん」
私の言葉を遮った泉さんは困ったように眉を下げ苦笑しながら言った。
「胸が……」
「え、あ……」
乱れたままの浴衣から見事に胸が見えていた。
「着いたぞ」
まっちゃんが保健室の扉が開け、私はまだ虎さんに抱えられたまま中に入ると既に先客がいた。
「え、」
「奈緒ちゃん」
その人物は彼だった。
今、彼が私の目の前にいる。
ゆっくりと近寄って来た彼は少し悲しい顔をしていた。
「奈緒ちゃん」
彼が私の名を呼ぶだけで私は安心感を与えられる。
そこで、ようやくドッグタグから手を離した私は彼に縋るように両手を伸ばした。
「泉さん……ッ」
首に手を回し彼の胸に顔を埋める。
「奈緒ちゃん」
虎さんから私を受け取った泉さんは私の髪を撫でながらベッドに下ろした。
私は泉さんのシャツを、ぎゅっと握り締め唇を噛み締めた。
その間ずっと優しく梳くように髪撫でていてくれた。
まっちゃんと虎さんは、いつの間にかいなくなっていた。
「泉さん、ごめんなさい。シャツが……」
「気にしなくていいよ」
顔を挙げた私に微笑みながら、まだ髪を撫でていた。
「泉さん何で、こ……」
「そんなことより奈緒ちゃん」
私の言葉を遮った泉さんは困ったように眉を下げ苦笑しながら言った。
「胸が……」
「え、あ……」
乱れたままの浴衣から見事に胸が見えていた。