ヒロイン 完
「あれ?そう言えば千夏ちゃんは?」


「お前今更……」



校庭の端にあるベンチに座りながら静かに花火に火を点けていく私達。


そして千夏ちゃんの姿がないのに今気付いた。



「連さん達と帰ったよ」


「あ、そうなんだ」



まぁ、後夜祭は自由参加だもんね。



「お前、何で千夏嫌い何だよ」



私から受け取ったチャッカマンで煙草に火を点けて口にくわえた恭二。


こいつは、いつから煙草なんか吸うようになったんだろう。


フーッと空に息を吐き、人差し指と中指の間に煙草を挟んでいる。


まっちゃんの時も恭二の時も感じない。


でも、泉さんが煙草を吸う姿にはドキッとする。


何でだろう。



「おーい、聞いてるかー?」


「あー…うん」



何で千夏ちゃんが嫌いかでしょ?


私は消えた花火をバケツに放り、新しい花火に火を点けた。


うざい意外に何があるんだろう。
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