桜の花びら舞う頃に
(くそっ!)



さくらの声でなんとか意識をつなぎ止めた悠希だったが、思ったよりもダメージは大きい。

なんとか立ち上がったものの、膝に力が入らない。

タイガーはそれを知ってか、余裕の表情で近づいてきた。


「おらおらっ!」


左右の拳を繰り出すタイガー。

悠希は、それをかろうじて腕で防御する。

だが、先ほどのように、避けるという動きは出来なかった。


「どうした? 動きが鈍くなってるぞ!」



(言われなくてもわかってる!)



悠希は心の中で叫んでいた。



だからこそ、一瞬のチャンスを待っているのだ。




そして……




そのチャンスは、すぐに訪れることになる。






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