桜の花びら舞う頃に
第17話『Runner』
さくらは走っていた。
全力で走っていた。
前方にフレアの入り口が見える。
「早く、早く、誰か呼ばないと!」
飛び込むように、入り口の扉へと手を伸ばす。
その瞬間━━━
「きゃっ!?」
突然扉が開く。
目標物を失ったさくらは、そのままバランスを崩し頭から店内へと滑り込んだ。
「いった~い……」
鼻をさすりながら起き上がるさくら。
「さくら……何やってんの?」
「あ、麻紀ちゃん!」
「さくらちゃん、お会計済ませといたよ」
麻紀、続いて玲司が話しかけてきた。
店内にいづらい雰囲気になった玲司は、店を変えようと会計を済ませたところだったのだ。
「あんた、もう少し落ち着いて入ってきなよ」
麻紀はそう言って笑う。
玲司も一緒に笑っていたが、すぐに悠希の姿がないことに違和感を覚えた。
「さくらちゃん……悠希は?」
その言葉に、さくらは泣き出しそうになる。
「悠希くんが……悠希くんが……」
さくらは、肺の中の空気を一気に吐き出すように叫んだ。
「悠希くんが大変なの!!」
全力で走っていた。
前方にフレアの入り口が見える。
「早く、早く、誰か呼ばないと!」
飛び込むように、入り口の扉へと手を伸ばす。
その瞬間━━━
「きゃっ!?」
突然扉が開く。
目標物を失ったさくらは、そのままバランスを崩し頭から店内へと滑り込んだ。
「いった~い……」
鼻をさすりながら起き上がるさくら。
「さくら……何やってんの?」
「あ、麻紀ちゃん!」
「さくらちゃん、お会計済ませといたよ」
麻紀、続いて玲司が話しかけてきた。
店内にいづらい雰囲気になった玲司は、店を変えようと会計を済ませたところだったのだ。
「あんた、もう少し落ち着いて入ってきなよ」
麻紀はそう言って笑う。
玲司も一緒に笑っていたが、すぐに悠希の姿がないことに違和感を覚えた。
「さくらちゃん……悠希は?」
その言葉に、さくらは泣き出しそうになる。
「悠希くんが……悠希くんが……」
さくらは、肺の中の空気を一気に吐き出すように叫んだ。
「悠希くんが大変なの!!」