桜の花びら舞う頃に
━━━まさにその時!





「悠希!」




さくらから事情を聞いた玲司が駆けつけてきた。


「れ、玲司……」


遅れてさくらと麻紀も現れる。


「やめろ、タイガー!」


玲司は叫ぶ。


「三上……玲司か……」


動きを止めたタイガーは、そうつぶやくと、ゆっくりと玲司を振り返った。


「2人は……知り合いなの?」


さくらは玲司にたずねる。


「ああ……」


玲司はタイガーをにらみつける。


「あいつの名は大賀 剛(たいが たけし)。自称、エリカの親衛隊長さ」

「大賀……剛……」

「……あ~、だからタイガーなのね」


さくらと麻紀は、顔を見合わせる。


「そう、タイガーGo!の名前の通り、頭に血が上ると見境なくなるやつさ」

「三上 玲司……!」


タイガーは奥歯をギリッと噛み締めた。


「三上 玲司! エリカちゃんにちょっかい出したこと、後悔させてやるぞ!」

「ちょっかい……」

「ふ~ん……」


口を押さえるさくら。

玲司に冷たい視線を送る麻紀。


「い、いや、違うって! こ、こらっ、お前!」


玲司はあわててタイガーを制する。


「誤解を招くようなことを言うな!」


そして、フルネームもやめろと付け加える。


「ちょうどいい、前からお前は気に入らなかったんだ」


タイガーは、ゆっくりと玲司に歩み寄る。


「お前も、血祭りに上げてやるぞ、三上 玲司!」

「だから、フルネーム……」

「そうはいかないわ!」


麻紀が2人の間に割って入る。


「さっき、店員さんにも知らせたわ。もうすぐ警察も来るはずよ!」






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