桜の花びら舞う頃に
警察という言葉に、一瞬動きが止まる。



「……だったら、警察が来る前に終わらせてやる!」



しかし、すぐに開き直るタイガーだった。



「返り討ちにしてやるさ!」



麻紀をかばうように、前に出る玲司。



「悠希っ!!」

「行くぞ、玲司!!」



その声に答え、悠希も立ち上がる。


玲司に向かって、支柱を振り上げるタイガー。



「どこを見ている! お前の相手は俺だーっ!!」



悠希はタイガーに向かって吠え、一気に間合いを詰めた。


「う、うおっ、こっちからか!」


タイガーは、あわてて悠希に向き直る。

そのスキに、玲司も一気に間合いを詰めていた。



「スキだらけだぜっ!」



玲司は、後ろからタイガーの軸足となる膝を蹴り抜いた。



「おうっ!?」



思わず、膝がカクッと折れ曲がり、片膝をつくタイガー。



「玲司!」

「悠希!」



2人は足を振り上げる。

それは、空手の回し蹴りのように綺麗な弧を描く。



「ぐはぁっ!」



そして、2人同時にタイガーをとらえる。

悠希は正面から顔を。

玲司は背後から首筋を、それぞれとらえていた。

挟まれる形となったタイガーは、どこにも逃げることが出来ずに直撃した。



「ガ……ハ……」



激しい音を立てて崩れ落ちるタイガー。

さすがに、今度ばかりは立ち上がるそぶりを見せなかった。




「よしっ!」




パーンとハイタッチを交わす2人。


「二遊間コンビを思い知ったか!」


タイガーに向かって勝ち誇る玲司だった。








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