桜の花びら舞う頃に
その後、4人は他の店で飲み直すことにした。


先ほどは洋風な店だったため、今回は和風な居酒屋を選んだ。


この店はいかにも和風という感じで、入り口には大きな狸の置物がある。


その店の座敷の一角で4人は飲んでいた。




「ああ……しばらくフレアには行けないよな……」




アルコールが入った玲司は、そう言って落ち込む素振りを見せる。


「俺も……ちょっと行きづらいな……」


悠希も寂しそうに笑う。


「大丈夫よ、2人とも!」

「人のことって、意外と気にしないものよ!」


さくらと麻紀は、そんな2人を口々に慰める。

その言葉で、2人は少し立ち直りの兆しを見せる。




しかし━━━




「でも……店員さんには思いっきり顔を覚えられたでしょうね……」




この言葉から、玲司いじりに火が着いた。


「玲司くん、来店お断りとか言われたりしてね」

「ポスターとか貼られて」

「玲司を見たら110番って?」


そう言って、笑う3人。


「お……お前ら、黙って聞いてれば!」


玲司の握りしめた拳は、わなわなと震えている。


「しかも、何故に俺だけ!? 何故に悠希はそっち側で俺を責める!?」

「あはは、悪い悪い。つい……な」

「ついって何だー!」


玲司は、今にもテーブルをひっくり返さんばかりの勢いをみせていた。


「あはは、ごめんね、玲司くん」

「でも……今日1日で、いいキャラクターになったよね?」

「……好きでなったんじゃない」





どこに行っても、賑やかな4人組だった。






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