桜の花びら舞う頃に
それから数時間後……




悠希は玲司に別れを告げ、そのまま由梨の実家へ拓海を迎えに行った。


頬は、玲司の冷やしたタオルが効いたのか、あれ以上はさほど腫れることはなかった。


しかし、やはりいつもと同じ顔というわけにはいかず、拓海、由梨の父、母から色々と心配されてしまった。




「ちょっと転びまして……」




悠希は、よくある言い訳をする。


3人は、その言葉に納得したのか、心配の目を向けてはいたものの、それ以上は何も聞いてこなかった。



庭では、犬のヒマワリまでもが、悠希を心配するように吠えていた。








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