桜の花びら舞う頃に
「はいっ、それじゃ次の人━━━」



名前を呼ばれ、次々と子供たちが発表していく。

家族で遊びに行ったこと、買い物に行ったことなど、どの子も楽しそうに発表している。

その気持ちは、後ろで見ている保護者たちの心にも伝染していった。




(あぁ……いいもんだな……こういうのって……)




悠希は、心が芯から温まっていくことを実感していた。








「はい、じゃあ次は……月島 拓海さん!」


「はいっ!」



そして、遂に拓海の番が回ってきた。

拓海は元気に返事をして立ち上がる。



「ガンバって、拓海くん!」



一番最初に発表した、あざみという名のとなりの席の女の子が、拓海に声を掛ける。

拓海は、授業前に悠希に見せたVサインを、同じようにあざみにも見せた。



「大物になるわね、あの子……」



保護者たちの話し声が悠希の耳に届く。




(アイツは……緊張というものがないのか……)




悠希は少し恥ずかしくなった。








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