桜の花びら舞う頃に
ニコニコ顔の拓海は、教壇に上がるとペコリと頭を下げた。

そして、手にした画用紙を広げる。

そこには動物園と、楽しそうな様子の拓海が描かれていた。



「この前、おじいちゃんとおばあちゃんに、動物園に連れていってもらいました」




（あぁ、嬉しさのあまり電話してきた、あの件だな）




悠希は、フレアでの電話を思い出し微笑んだ。

あれだけ嬉しそうだったのに、悠希と再会した時にそのことを一言も話さなかったのは、きっと今日の日のためだったのだろう。

もしかすると、さくらから発表する内容は秘密にするように言われていたのかもしれない。



（さくらちゃんは、きっと、ショートケーキの苺は最後に食べるタイプなんだろうな）



悠希は、そんなことを勝手に考えていた。



「動物園には、色々な動物がいました！」



目を輝かせて語る拓海。



（よほど楽しかったんだな）



悠希は、自分が連れて行ってあげられなかったことを、少し後悔していた。



「あら、あの子……？」







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