桜の花びら舞う頃に
スーパーでカートを押す拓海。

並んで歩く悠希。

拓海は、昔からこのショッピングカートを押したがるので、それならばと悠希は拓海にお願いしていた。


夕飯の材料の他に、お目当てのお菓子をカゴの中に入れた拓海は、ほくほくとした笑顔でカートを押していた。

その様子を、しみじみと眺める悠希。



(由梨と3人で買い物に来た時も、こんな時があったな……)



もちろん、当時の拓海には通常のカートは大きすぎて押すことはできなかった。

そのため、『おてつだいカート』と名付けられた子供用の小さなカートを押していた。

その小さなカートを、一生懸命押して歩く姿がとても可愛かったのを覚えている。

思わず、写真を撮ってしまったくらいだった。



(あの可愛さは、みんなに見せてあげたいくらいだったな……)



悠希は目を細める。



(そう……例えば、さくらちゃんにも……)



悠希の頭の中に、さくらの姿が現れる。

さくらは、そんな悠希を見つめニッコリと微笑んでくれた。

その笑顔はやはり由梨に似ていて、悠希は吸い込まれそうな気持ちになる。







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