桜の花びら舞う頃に
「僕のお嫁さんになるっ!」




ブーッ!




含んだコーヒーを勢い良く吐き出す悠希。



「きゃーっ!?」


「うわー、パパ、きたなーい!」


「だ、だって……お、お前……いきなり……」



予想だにしなかった拓海のプロポーズ。

驚きのあまり、コーヒーは気管へと突入し、悠希は激しくむせている。


「た~……お前な……」

「ん? どしたの、パパ?」


拓海は、咳き込みながら床を拭く悠希を見つめた。


「さすがにそれは……さくらちゃんにだって……ほら、都合があるし……」


悠希は頭をかく。

自分でも、しどろもどろになっているのがわかる。


「ほら……仲良くしてる……っていうか、お付き合いしてる人が……」

「ううん、悠希くん」


悠希の言葉に、さくらは首を横に振った。


「あたし、そんな人いないよ」

「えっ!? ……ホントに?」


さくらから返ってきた言葉に、思わず声が裏返りそうになる。


「じゃあ、僕と結婚出来るねー!」


拓海も、嬉しそうにピョンピョンと飛び跳ねた。


「うん、た~君」


さくらは、そんな拓海を正面から見つめて座った。


「た~君が大きくなって……先生にも、た~君にも素敵な人が現れてなかったら……」


さくらは優しく微笑む。


「その時は、結婚しようね」

「うんっ!」


そして2人は、とびきりの笑顔を見せた。









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