桜の花びら舞う頃に
第28話『いつか空に届いて』
楽しい時間というものは、得てして早く過ぎていくものだ。



「もう……こんな時間……」



壁に掛かっている時計を見上げて、さくらはつぶやく。

時計の針は、すでに8時を回っていた。


「さくらちゃん……そろそろ帰る?」

「うん……そうね」

「えーっ!? もう、帰っちゃうのー?」


さくらの言葉に、拓海は驚きの声を上げる。


「うん……ごめんね、た~君」


さくらは、優しく拓海の頭をなでた。


「でも、またきっと来るから」


そう言って、さくらは微笑んだ。


「うん、約束したもんねー!」


拓海の顔にも、再び笑みが戻っていた。








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