桜の花びら舞う頃に
「んしょ」



さくらは、玄関先で黒皮のロングブーツをはくと、短いかけ声と共に立ち上がった。

そして、悠希たちの方を振り返る。


「今日は、ごちそうさまでした」


さくらは、ぺこりと頭を下げた。


「こちらこそ、色々ありがとう」


悠希もお礼を返す。


「あの絵、大切にするからね!」


拓海は、元気にVサインを見せた。

3人の想いが込められたあの絵は、さっそく拓海の宝物入れの中に大切にしまわれていた。

それを時々眺めては、今日の日に思いを馳せるのだろう。

いつまでも色あせない、大切な思い出として。



「それじゃ……ね」



2人に手を振るさくら。





しかし━━━






< 173 / 550 >

この作品をシェア

pagetop