桜の花びら舞う頃に
薄雲の空の下、3人の姿はあった。

さすがに通りは真っ暗というわけではなく、コンビニや街頭など明かりはある。

しかし、やはり1人で歩くのは寂しいものがあった。

隣りを歩いてくれる悠希が、とても頼もしく見える。

さくらは『ふふふっ』と、嬉しそうに笑った。


悠希たちは、様々な話をしながら夜道を歩く。

車で送らなかったことには理由があった。

キッカケは、拓海の『歩いていこう』という言葉だった。



「『食後の運動だよー!』」



「そう言ってた本人が……」



悠希は、ため息をつく。



「家を出た途端……」



「『……眠い!』」



「……だもんな」



悠希は首を巡らせて、背中の拓海を見た。

拓海は、悠希の背中で安らかな寝息を立てていた。


「あははっ、仕方ないよ。た~君、まだちっちゃいから」


そう言って、さくらは拓海の寝顔をのぞき込んだ。




(おかげで、さくらちゃんとたくさん話が出来るんだけどね……)







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