桜の花びら舞う頃に
さくらは、手を後ろで組み、つま先を立てて歩き出した。


「悠希くんに、こんなに想われてる由梨さんって……」


ピョンと、軽やかに跳躍し、さくらは悠希に近づいた。


「よっぽど素敵な人だったんだろうなって」

「うん……」

「だからね、悠希くん……」


さくらは、拓海の寝顔を再び眺めた。



「ママになってくれる人を探すんじゃないの……」



言葉を続けるさくら。



「悠希くんが好きになる人は……きっと、た~君のことも愛してくれる人だから!」



2人の間を、一陣の風が吹き抜けていった。



「そうか……そうだよな!」



今まで重く苦しかった心が、少しだけ軽く楽になった気がする。


「ありがとう……さくらちゃん」

「ううん……」


さくらは、少し微笑みながら首を振った。

そして、視線を空へと向けた。



「わぁ~、悠希くん見て~!」


「うわぁ……」



2人の口から、思わずため息が漏れる。


いつの間にか薄雲は消え、夜空には星が輝いていた。


それは、まるで無数の宝石をちりばめたかのだった。


「きれい……」

「この辺は……明かりも少ないから」


悠希も、星空を眺めながら言った。



「街中だと、こうはいかないよね」


「うん……例え今は見えなくても、きっと輝ける場所がある……そう信じて、頑張り続けることが大切なのね……」





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