桜の花びら舞う頃に
第29話『素直な気持ち』
「悠希、見っけー!」
薄れゆく意識を、必死に食い止める悠希とさくら。
2人のそんな様子を気にすることもなく、彼女は笑顔で走り寄って来た。
「悠希、やっと見つけたぁ!」
エリカは、悠希の上着の裾を引っ張る。
「な……何でここに?」
「ん~? 偶然よ偶然! ……ねぇ、これって運命感じない?」
そう言って、大げさに腕を広げる。
「……さっき、『やっと見つけた!』って言ってたくせに……」
さくらは、車を避けた時に落としたハンドバッグを拾い上げながらつぶやく。
そんなさくらを一瞥(いちべつ)すると、嫌みな笑みを浮かべ、エリカは鼻を鳴らした。
「あら、いたの? 色々と小さくて見えなかったわ」
(色々と!?)
エリカの言葉に、さくらの顔色が変わる。
「この……!」
「いい加減にしなよ、エリカちゃん!」
口を開きかけたさくらを制し、悠希はエリカをたしなめた。
「いったい何しに来たの? さくらちゃんと喧嘩するために来たんじゃないんでしょ?」
「何しにって……」
エリカは、悠希の正面に回り込んだ。
真っ直ぐに悠希を見つめてくる。
(な……何だ!?)
悠希の頬を冷や汗が伝う。
薄れゆく意識を、必死に食い止める悠希とさくら。
2人のそんな様子を気にすることもなく、彼女は笑顔で走り寄って来た。
「悠希、やっと見つけたぁ!」
エリカは、悠希の上着の裾を引っ張る。
「な……何でここに?」
「ん~? 偶然よ偶然! ……ねぇ、これって運命感じない?」
そう言って、大げさに腕を広げる。
「……さっき、『やっと見つけた!』って言ってたくせに……」
さくらは、車を避けた時に落としたハンドバッグを拾い上げながらつぶやく。
そんなさくらを一瞥(いちべつ)すると、嫌みな笑みを浮かべ、エリカは鼻を鳴らした。
「あら、いたの? 色々と小さくて見えなかったわ」
(色々と!?)
エリカの言葉に、さくらの顔色が変わる。
「この……!」
「いい加減にしなよ、エリカちゃん!」
口を開きかけたさくらを制し、悠希はエリカをたしなめた。
「いったい何しに来たの? さくらちゃんと喧嘩するために来たんじゃないんでしょ?」
「何しにって……」
エリカは、悠希の正面に回り込んだ。
真っ直ぐに悠希を見つめてくる。
(な……何だ!?)
悠希の頬を冷や汗が伝う。