桜の花びら舞う頃に
「……それで?」


「……それよ!」


その先を聞き出そうとするさくらに、エリカは人差し指を突きつけた。



「……は?」



エリカの言葉の意味が理解出来ない2人。


「その言葉が……何で……?」

「『彼女』って言ったでしょ」


エリカは、照れたように笑う。


「……ま、まさか……」


後ずさりをする悠希。



「うん、あれって悠希の告白だったんでしょ!」



エリカは頬を染めた。


「アタシを、彼女だと思ったんだよね~」


手を下で組み、エリカはモジモジと体をくねらせる。


「アタシ……人前で……あんな風に告白されたこと、なかったから……」


あまりの出来事に、口を開けたまま何も言うことが出来ない悠希。

エリカは、そんな悠希を横目でチラチラと見る。



「あはははははっ!」



突然起こる笑い声。

エリカは、キッとさくらを睨み付けた。



「あははははっ! 良かったね~、悠希くん!」



さくらは、そんなエリカを気にすることもなく、笑いながら悠希の肩を叩いた。


「……笑い事じゃないよ」


悠希は、がっくりとうなだれ溜め息をつく。



「あのね~エリカちゃん」


「エリカって呼んで」


「……」


「呼んで!」


「……エ、エリカ」


「なぁに~悠希ぃ」



思わず泣きたくなる悠希の隣りで、さくらはずっと笑い続けていた。







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