桜の花びら舞う頃に
第4話『夢で逢えたら』
━━━その夜。


悠希は、自宅である3DKのアパートの一室にいた。

昼間のようなスーツ姿ではなく、楽でラフなスウェットにその身を包んでいる。

しかし、やはりシャープな印象を受けるのは、細身の躰に程よく付いた筋肉のおかげだろうか。


悠希は飲みかけのビールをテーブルに置くと、ゆっくりと立ち上がり、窓の方へと歩いてゆく。

先ほどまでは、通りを歩く人の話し声が聞こえてきたが、今は隣りの部屋で眠る拓海の息づかいしか聞こえてこない。


悠希は窓を開け、夜空を見上げてみた。

そこは満天の星だった。

その夜空の華やかさとはうらはらに、辺りはとても静かなものだった。



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