桜の花びら舞う頃に
さくらの姿が、完全に夜の闇に消えた時、悠希は心にぽっかりと穴が空いた感覚を覚えた。




「た~……」


「……う?」


「今日は楽しかったな……」


「うん……」




悠希は、拓海を抱き上げると、にらみ合いを続ける2人に向き直った。



「……俺たちも帰ります。……今日は、どうもでした!」



悠希は勢いよく頭を下げると、急ぎ足で来た道を戻り始めた。


一瞬、あっけに取られる2人だったが、すぐ我に返り、悠希たちの後を追って走り出す。



「ね、ねえ! アタシが車で、送ってあげるよ!」


「……いや、いい」


「じゃあ、月島くん! 私が……!」


「大丈夫です、ありがとうございます」



そして、4人の姿も夜の中に溶けていく。









様々な想いを胸に抱き





今━━━





それぞれが道を歩き始めた……










< 198 / 550 >

この作品をシェア

pagetop