桜の花びら舞う頃に
さくらは、人差し指を玲司に突きつけた。



「……ここに、三上 玲司がいることだーっ!」


「お、俺!?」



不意に名前を呼ばれ、戸惑いを隠せない。


「なんで、麻紀ちゃんちにいるのよぅ!」

「な、なんでって……おい、麻紀ぃ。さくらちゃんに言ってないの?」


玲司は、助けを求めるように麻紀を見た。


「あ……ごめん、言ってなかったかも……」


料理を運び終わった麻紀は、困る玲司を正面に見据え、苦笑いを浮かべながら腰を下ろした。


「……なによぅ?」


じとっとした視線を投げかけてくるさくらに、玲司は頬をかいた。



「いや……俺たち……今、付き合ってるんだよ」


「えっ!!」



さくらは、驚きのあまり立ち上がる。


「そんなの、聞いてないよー!」

「だから、ゴメンって」


いきり立つさくらをなだめるように、麻紀は手を合わせた。


「前に話があるからって、フレアに行ったでしょ? あれ、玲司のことを相談しようと思ってたのよ」

「うん。ごめんね、さくらちゃん」


玲司も、麻紀に続いて謝る。




「……ダメだよ」




「えっ!?」




さくらは、険しい表情で首を横に振る。

祝福してくれるものだと思っていた2人は、自分の耳を疑った。


さくらは、ゆっくりと麻紀を見る。






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