桜の花びら舞う頃に
拓海を抱きかかえた悠希は、向きを直すと、そっとベッドに下ろす。

初めての学校は、よほど疲れたのだろう。

拓海は全く起きる気配を見せなかった。


しかし、それもそうだろう。


教室での挨拶の後は、体育館に移動しての入学式。

上級生の祝いのスピーチや、校長先生の少し長い話を聞いたりもした。


その後は、保護者も含めた記念撮影。

そして、また教室に戻り明日からの学校のスケジュールの説明を受ける。


今まで保育園でのんびりとした時間を過ごした拓海には、今日はなかなかハードな1日だったに違いない。


悠希は優しく微笑み、そっと布団をかける。

拓海はその布団の縁をつかむと、もぞもぞと顔に持っていった。


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