桜の花びら舞う頃に
「お帰り、玲司くん! 何買ってきたの?」

「うん、洋風幕の内と……さくらちゃん、カレー食べてきたって言ってたけど、デザートくらいなら入るでしょ?」

「わ~、ありがとう!」


麻紀の気も知らず、2人は弁当とデザートの会話を始める。

麻紀は、力が抜けたように腰を下ろした。


「あはは、冗談だよ、麻紀」

「うん、ごめんね、麻紀ちゃん」

「……いい……もう、いいわ……」


さくらに変わって、今度は麻紀がテーブルに突っ伏す。

そんな麻紀に、さくらはそっと近づき、耳元でささやいた。



「……ありがとう。麻紀ちゃんの気持ち、嬉しかった……」




(さくら……)




麻紀は顔を上げる。


「ありがとうね、麻紀ちゃん」


微笑むさくら。


「ん? もしかして……俺、まだ帰って来ない方が……良かった?」

「ううん、そんなことないよ!」


2人の様子に、恐る恐るたずねる玲司。

その心配を吹き飛ばすように、さくらは玲司にも笑顔を向ける。

そして、玲司が手にしている紙袋をのぞき込んだ。


「わぁ、美味しそ~う!」







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