桜の花びら舞う頃に
━━━が、



「あ、おはようございます、香澄さ……」


「月島くんっ!」



駐車場で会った香澄の見幕に、夢ではなかったことを実感する悠希だった。



「香澄さん、朝からそんな怖い顔して……」


「こんな顔にもなるわよっ!」


香澄は、


ガンッ!


と、ヒールで地面を踏みつけた。


駐車場にいた、他の社員たちの視線が一斉に集まる。



「何? どうしたの?」


「月島くん、怒られてるの?」


「いや、あれって痴話喧嘩じゃない?」



(勝手なことを~!)



そういうことは、本人に聞こえないように言え! とも思う。


しかし、香澄はそんなこと気にも止めていないようだ。

その勢いは、全く変わらない。


「だいたい、あのエリカって娘は……」

「はわわわ、香澄さん!」


その言葉にあわてる悠希。


香澄の言葉を遮ると、腕を引っ張って駐車場の隅へと移動した。






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